🐯short story2〜ストリートピアノ

少し肌寒くなった12月のある夜のこと

帰りの電車に乗り遅れて

何分か時間をつぶさなければならなくなった

“今日はツイてないな…”なんて思いながらフラフラと駅を歩き回っていると

ふと、昨日までは無かったはずのストリートピアノが目に留まる

『こんなところにピアノ?…そっか、最近はこういうのが増えてるって友達が言ってた』

独り言を呟きながらもそのピアノに吸い寄せられるように足が動く

大きなピアノの前に立ち

遠慮がちに鍵盤を一つ鳴らしてみると…とても綺麗な音色が駅の構内に響いた

誰も足を止めないし、気にもとめてないみたいだから一つ…二つ…鍵盤を鳴らしてみる

最近は忙しくてピアノなんて弾いていなかったけど、幼い頃から習っていたという事もあって自分でも驚く程にスラスラと指が動く

初めは恥ずかしくて周りの目が気になっていたけれど、いつのまにか気にならなくなって、1曲弾いてみようという気持ちになった

いつもならこんな注目されるような事は好きじゃないから絶対にしないのに、この日だけはなぜか違った…

無性に何かに集中したくて

ゆっくりで控えめだった指も

少しずつ通行人にハッキリと聞こえるくらいの大きさの音をはじき始めて

徐々に自分が奏でる旋律に気持ちを乗せていく______

駅の構内に響き渡るそのメロディーは

人々の耳に心地よく届き

1人…また1人とその美しくもどこか儚い演奏に足を止める

仕事帰りのOL

学校帰りの学生

お買い物帰りの主婦

駅の利用者にはたくさんの人がいて

皆、その演奏に聴き入っていた

するとその人だかりのすぐ側を…

一際オーラを放つ1人の男性が足早に通り過ぎようとした…

もうすぐホームに着く電車に乗りたいのか…

彼の足は真っ直ぐとホームに向かっているのに

いつもなら聞こえるはずのないピアノのメロディーと

いつもは無かったその人だかりに

不思議そうに目線をやる彼もまた

彼女の奏でる美しい旋律に足を止める_____

急いでいた筈なのに何故か心が奪われて

疲れていた心も不思議と癒されていく

気持ちを集中させているのか…目を瞑りながら鍵盤を鳴らす女性の横顔から、何故か目が離せなくて

気づけば最後までその演奏に聴き入っていた

演奏が終わり鍵盤から指をそっと降ろすと…

いつの間にか自分の周りに人だかりができていた事に気づく

みんながこちらを見ている

我に返ると恥ずかしさがこみ上げてきて

すぐに椅子から立ち上がりその場を去ろうとすると

1人が拍手をして…

次々と手を叩く人数が増え…

遂には駅の構内に響き渡るくらいの大きな拍手をもらう事になってしまった

居ても立っても居られなくて、恥ずかしさを隠すように観客に向かって慌てて一礼する

頭を下げている間鳴り響く自分へ向けた拍手に、すこし頰を赤らめる

そして…

顔を上げると

ある男性と目が合ってしまった_____

ほんのり微笑むその表情は、紛れもなく自分に向けられた表情で…

一瞬で心奪われて…まるで時間が止まったよう_______

みんなは止めていた足を再び動かしてホームへと向かうのに

何故か彼だけはずっとそこに居て、帰ろうとしない_______

そんな彼の様子を見ながら少し戸惑っていると

一歩近づいてきた彼が

『あの…バースデーソングとか弾いてくれませんか____?』

そんな風に話し掛けてきた____

『……え……』

少し驚きながら彼を見つめ返す

自分の演奏を聴きたいという純粋な眼差しと

恥ずかしそうに今日が誕生日だという彼のそのお願いを

断るなんて選択肢はあるわけがなかった

『……………はい……私で良ければ…』

そう答えると彼は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた

今でも鮮明に思い出す…

これが今隣にいる彼との1年前の出来事でした_____♡

                                                       END

投稿者: banta-story

はじめまして。 この小説はBTSとは関係のないBTXというグループとの恋愛小説ですが、彼らの事も好きになってくれたら嬉しいです♡ どうぞよろしくお願いします♪

「🐯short story2〜ストリートピアノ」への6件のフィードバック

    1. よんでくださってありがとうございます😊💜
      画像さまさまです🙏❤️

    1. 表情があると小説も伝わりやすいですよね🥺🙏
      またこんな感じのをかけたらのせますね💜
      コメありがとうございます😊

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