🐯story5〜出会い

メイクさんの仕事は華やかな世界で働くカリスマのような存在というイメージがあるかもしれないけれどその実態は………なかなか激務だ。

彼らが汗をかいたり髪が乱れたりするとすぐに直しに行き、最高の状態を維持し続ける。そのためにもいつも気は抜けない。

撮影中もカメラのモニターに張り付いて乱れていないか、化粧が浮いていないかもチェックする。

タオルやあぶらとり紙、パウダーや櫛、スプレー、常にすぐに動けるよう準備しておく。

撮影が長引くと1日中立ちっぱなしで、トイレに行く時間もあまりなく、朝から深夜まで気をぬく事もなくバタバタしていたり、

帰ったら深夜で次の日も朝早く出勤…という事もある。

どうやら今回の撮影はソロの撮影が多いみたいで、もう既に一人メンバーが撮影に入っているようだった。そのメンバーの今回の担当のメイクさんも真剣な顔でモニターに張り付き、いつでもメイクや髪型を直せるよう準備している。

○○は離れた所でバタバタと準備をしていたので、その撮影はあまり見る事ができなかったけれど、どうやら順調にすすんでいるようだった。

豪華なセットに、眩しい照明、たくさんの機材が並んでおり、胸がワクワクする。

2週間前まででは想像出来なかった、今置かれている状況。

この感動は一生忘れる事はないだろう。

1年後にはここに立っていないけれど、前の仕事場にもどってもきっとここでの経験は大きな意味を持つし、自信につながるだろう。

少しだけ足を止めて、感情に浸っていたけれど、すぐにまた動き出す。

止まっている時間はない。

○○はパウダーの色を確認しながら、準備をしていた。

その時

先輩メイク「○○さん!そのパウダーこちらへ持ってきてくれる?」

そう声がかかったので、慌てて返事をする。

○○「はい!直ぐに行きま……

《ドン!!!》

きゃ………!!!」

私が急に振り返って動いたせいで、誰かにぶつかってしまう。

その衝撃で、手に持っていたパウダーが飛び散る。何と蓋が少し空いていたらしい…!

キラキラと舞い散るパウダー。

そして、そのパウダーの先にいたのは______

粉が衣装と顔に降りかかってしまい驚いた顔で立っている🐯だった。

○○「ご、ごめんなさい!」

🐯「……………あ、全然気にしないで」

○○「あの、すぐにタオル濡らしてきます!」

○○が慌てていると、

🐯はまるで”本当に大丈夫”といっているように手を顔の前まで挙げて合図をし、そのあとパウダーを軽くはたいて、衣装を綺麗にした

そして無残にも落ちてしまったパウダーのケースと蓋を、長く綺麗な手を伸ばして拾う…

その一連の動作でさえ美しく

まるでこの部屋にある全ての照明が彼にだけ当たっているかのように眩しい…

🐯は○○の目をジッと見たまま、拾ったパウダーのケースを渡してくれた。

この大失態に頭が真っ白になっている○○はそのパウダーを受け取るのが精一杯で何も反応が出来ないでいる…

手も震えている…

我に返って「ありがとうございます」と、か細い声が出た時にはもう

🐯が控え室に戻るために、その場を離れた後だった。

(どうしよう………大変なことをしてしまったし、ちゃんと謝まる事が出来なかった…)

○○はその後すぐに先輩に怒られ、酷く落ち込み、涙ぐんでいた。

こんなミス絶対あってはならないのに。

アーティストの迷惑になって、一歩間違えたら撮影中止になるようなミス。

(私みたいなのが来たらダメなところなんだ……私のせいで…)

この考えが頭から離れずに、うつむいたまま仕事に戻る。

責任感のある仕事なのに……自分の未熟さと不甲斐なさを感じる。

メイク道具を移動させながらうつむいて鼻をすする○○に、リアちゃんが声をかけてくれた。

リア「なに下向いてるの?仕事はまだまだこれからだよ??」

とても優しい声。

その声にまた泣きそうになる

○○「私……ごめんなさい……」

リア「ほら!反省会はまた後だよ。今はこれからする仕事をうまくこなすことだけ考えて。

誰でもミスするんだから、くよくよしないよ。🐯さんには隙をみて、ちゃんと謝まろう!」

その元気な声と優しい言葉にハッとして、

今は仕事に集中するよう気持ちを切り替える。

○○「…ありがとうございます。今から挽回します。そしてもう一度謝るチャンスがあったら、その時はきちんと謝ります…!」

(リアちゃんが居てくれて良かった…いつも助けてくれて、本当にありがとう。)

その後からは、うつむいていた顔を上げて、仕事をこなす事ができた。

次のメンバーを迎える為に、スタッフが撮影のセットを入れ替える。

○○もそれに合わせて必要なものを準備して、自分の担当するメンバーの動きも確認して内容をしっかり頭に叩き込んだ。

投稿者: banta-story

はじめまして。 この小説はBTSとは関係のないBTXというグループとの恋愛小説ですが、彼らの事も好きになってくれたら嬉しいです♡ どうぞよろしくお願いします♪

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。